「黒字」とか「赤字」という言葉に敏感であることは経営者にとって当たり前のことですし、確かに黒字の方がよいに越したことはないのですが、お金さえあれば赤字でも会社は回っていきます。
むしろ意図的に赤字にしている会社も存在します。
目次
会社にとっては赤字よりも資金ショートが倒産原因
赤字は節税のために行っている場合も
黒字になると、利益に対して税金が発生します。そのため、意図的に赤字にしている会社は数多くあります。
役員報酬や従業員給料を引き上げる、交際費などで損金算入を多くするなどの方法で、意図して利益を計上していない会社は多数あります。
法人税が20%であるとすると、100万円の利益をだした会社は100万×20%=20万円の税金を支払わなければなりません。
しかし、この100万円をたとえば役員の給料とした場合には、収支は0円となり、税金は発生しません。
翌年は納税義務がないため、キャッシュフローを痛める必要もなくなります。
このように意図的に赤字として、会社を効率的に回している会社も数多くあります。
会社はお金さえあれば回っていける
赤字であっても、銀行・取引先・従業員などへの支払いさえできれば会社は存続できます。
赤字だからといって会社が倒産するのではなく、支払いができないために会社は倒産に追い込まれるのです。
そのため、会社が赤字でも役員個人からの現金での支援を受けて存続している会社は数多くありますし、意図してそのようにしている会社も数多くあります。
赤字なのに潰れない会社とは?
赤字なのに潰れない会社には3つのパターンが存在します。「意図して赤字にしている会社」か「会社や社長などの個人資産がある会社」か「銀行が支援してくる会社」です。
社長の個人資産
会社のキャッシュフローは赤字であっても、社長個人に現金資産があり、その資産から会社を存続している場合です。
バブル崩壊時は会社の売上は激減し、銀行が融資に応じないという状況の中で、バブル崩壊前に貯めた社長の個人資産で数年間会社を存続させ、持ち直したという事例は数多くあります。
また、親がお金持ちの息子が商売に失敗しても会社が存続しているのもこのパターンです。
子供の会社は毎月毎年お金が足りなくても親の支援によって会社を維持し続けられるのです。
会社に資金が潤沢にある
会社の資産を時価1,000万円で売却した場合の仕分けは以下のようになります。
(現金)1,000万円 | (土地)1,000万円 |
時価や取得原価通りに不動産を売却した場合には収支は発生しませんので、このような場合は現金という資産と不動産という資産を交換しただけとなります。
つまり、一切利益は出ていません。
このような事象によって、現金を手に入れた会社は、その現金で赤字なのに会社を存続させていくことができるというケースも存在します。
資本や不動産が充実しており銀行が融資に応じる
銀行は会社が赤字であっても融資に応じてくれることがあります。
具体的には
①資本金が充実している
②不動産などの担保が充実している
このの2つのパターンでは、資本金の範囲内や不動産の担保評価額以内では銀行が融資に応じてくれる可能性が高いため、赤字であっても融資金から会社を存続させることができます。
役員報酬で赤字になっている
先ほど述べたように、節税のために、役員報酬や従業員の賞与などを多く支払って意図的に赤字にしておく企業は実はかなり多く存在します。
仮に会社の資金繰りが悪くなった時には、役員報酬としてストックしてあったお金を会社に貸し付けるという形で現金を供給すれば会社は存続できるためです。
中退共などを活用
世の中には様々な節税措置が用意されています。その1つが中退共(中小企業退職金共済)です。
中退共とは、中小企業が従業員の退職金を積み立てる制度です。
積立金は全額損金算入(費用計上)できるため、その分だけ、会社の経費を膨らませて利益を少なくしたり、赤字にすることができます。
従業員や役員の給料を引き上げて赤字にすることも可能ですが、この場合には
①一度引き上げた従業員の給料を再び下げるのが困難
②従業員や役員報酬を引き上げると個人にかかる所得税が引き上げた分だけ大きくなり、節税効果はトータルで薄くなる
③役員報酬は期初3か月以内に決定しなければならないため、期中に利益が上がった場合には役員報酬を引き上げられない
というデメリットがあります。
そこで、中退共を利用すれば、期中であっても費用を膨らませ赤字にすることができます。
急に売上が上がったように企業が節税のために行う手法としてよく利用されている方法です。