会社経営の中では、どの会社も1度は急にお金が必要になったことがあるものです。
月末になってお金がなくなり、従業員の給料が払えない、取引先への支払いができないというような場合には、お金をとにかく用意しないと「仕方ない」では済まされません。従業員からも取引先からの信頼も失墜することになってしまいます。
このようなときには、銀行融資だけでなく、ノンバンクのビジネスローンや、カードローンという選択肢もあることを考慮に入れておいたほうが、経営の幅は広がるでしょう。
目次
法人経営者やオーナー社長は融資を受けにくい
法人経営者やオーナー社長は融資を受けることが最も難しい属性と言われています。
その理由として以下の3点を挙げることができます。
会社と個人の区別が不明瞭
法人経営者は社長個人の会計と、会社の会計が一体化している場合が少なくありません。
会社の資金繰りが大変な時には、社長の個人資産から会社へお金を貸す場合もありますし、社長の個人的な支出を会社の経費として計上するなどということは日常茶飯事です。
このように、法人経営者やオーナー社長は個人会計と事業会計の分別が不明瞭です。
銀行融資は基本的に個人向けの融資と、事業資金向けの融資が区別されていることが大多数です。
個人の支出であれば何に使用しても問題ないカードローンは極端な話、ギャンブル資金に使用しても問題ないという商品設計になっています。
そのように使い道が圧倒的に自由な個人向けカードローンさえ、事業資金だけには使用することができません。
このような理由から、個人向け支出と事業向け支出の区分が不明瞭な法人経営者やオーナー社長は銀行融資を最も受けることが難しい業種であるといわれています。
小規模会社の社長の所得は不安定
小規模会社や個人事業主は当然ながら大手企業よりも経営基盤が貧弱で、売り上げも収益を安定しません。
たとえ同じ所得500万円のオーナー社長と大手企業に勤めるサラリーマンとでは、大手企業のサラリーマンのほうが審査の際には有利になります。
単純に所得が安定しているとみなされるためです。
経営基盤が貧弱なオーナー社長などはたとえ所得があっても以後数年間その所得が継続するという保証が大手企業よりも少ないため、審査の際にはマイナスとなり、審査に通過しにくくなるといわれています。
法人代表者は給料が低い場合も
小規模の法人でよくあるパターンが会社の経費を圧縮して利益を計上するために社長の給料を「役員報酬」という費用勘定を使用せずに、「役員貸付金」として役員にお金を貸し付けるという形にして給料を支払っている場合があります。
この場合には、実際に給料として受け取っていたとしても、法的には社長の給料は0円です。
所得が0円もしくは極小の人には融資は出ないため、法人経営者やオーナー社長はお金を借りにくいとも言われています。
会社での銀行融資
では、法人名義で銀行から融資を受ける場合はどのようになるのでしょうか?銀行は法人や個人事業主向けの融資が充実しています。
むしろ、法人や個人事業主などへ事業資金の融資を行い、当該事業が拡大することで地域経済が活性化することで、銀行のさらなる経営基盤の拡大にもつながることから銀行にとっては事業性融資が本来の仕事であるとさえいわれています。
銀行の事業性融資は地域経済の発展という大義もあることから、単純な収益目的だけではなく、低利での融資も行っています。
しかし、銀行融資は時間がかかるとうデメリットも存在します。
新規融資は時間がかかる
今まで融資を受けたことがない銀行へ融資を申し込む場合には1か月程度の時間がかかってしまうことを覚悟しましょう。
融資までには大まかに以下のプロセスを踏む必要があります。
銀行窓口に決算書3期分程度持参し面談
銀行の決算書や会社案内や商品パンフレットなどを持参し、融資の相談を行うことから最初の手続きはスタートします。
銀行は面談で「何にお金が必要なのか」「どのような会社なのか」「経営者の質はどうか」を面談から判断しています。
その後、銀行に提出した確定申告書をもとに、成長性、安全性、収益力などといった数字からわかる財務分析を行います。
このような企業そのものに対する審査を銀行内部で行い、銀行にとって取引を行っても問題ない企業かどうかの審査を行います。
ここで格付けや融資方針の決定を行い、ここまで1週間~10日程度時間を要します。
信用保証協会の審査
銀行は新規で融資を行う中小企業には貸し倒れがあっても保証を受けることができる信用保証協会の保証つきで融資を行うことが一般的です。
この場合、信用保証協会の保証が付かなければ融資を行わないため、銀行は融資の相談が企業からあった段階で、まずは信用保証協会に保証の打診を行います。
信用保証協会も銀行と同じように、企業そのものの審査と融資案件の審査を行うため、この回答までに1週間程度の時間がかかります。
銀行の案件審査
信用保証協会の内諾があると銀行は融資案件そのものの審査に移ります。
ここでも資金繰り表や、売り上げや仕入れの実績などを提出しなければならないこともありますし、銀行から様々なヒアリングも行われます。
融資金額が少額であれば支店レベルで審査が完了することもありますし、金額によっては本部まで決済をうけなければならない場合もあります。
余談ですが、大きな銀行ほど、支店レベルの決済権限の金額が大きいため、審査の可否の決定が速いという特徴があります。
このため、銀行による案件審査にかかる時間は銀行によってもばらつきがあるものの3日~10日程度と考えておいたほうがよいでしょう。
既存取引銀行でも時間がかかる
すでに融資取引がある銀行に融資を受ける場合にも、上記の信用保証協会と銀行の案件審査の時間が必要ですのでやはり1週間~2週間程度の時間がかかってしまいます。
急ぎの入用は銀行では間に合わない
このように、銀行融資には時間がかかるという最大のデメリットがあります。
しかし、企業活動の中には、急にお金が必要になる場面が多々あります。
企業活動において急にお金が必要になる場面としては以下の3つの場面が考えられます。
急な資金繰り
海外動向や政治情勢、社会情勢などによって急に売り上げが激減したとか、従業員にお金を持ち逃げされるなどの理由によって、月末に取引先に支払う仕入れ資金や、従業員に支払う給料、もしくは銀行に返済するためのお金が足りなくなるような場合には急にお金が必要になります。
特に銀行への返済金を銀行から借りることを「金繰り資金(かなぐりしきん)」などと言いますが、銀行から借換以外で金繰り資金の融資を受けることは非常に困難です。
銀行の返済が滞ると、以後銀行から融資を受けることは厳しくなりますし、以前振り出した手形が不渡りになるようなことになると銀行取引停止処分となり、実質的には倒産してしまいます。
このような場合にはとにかく銀行以外から資金を調達する手段を考えなければなりません。
つなぎ資金
売上金の入金が数日後に確定している、銀行からの融資が数日後に確定しているなどと言ったように、数日後の入金が確定してはいるものの、入金日までの数日間だけ資金が足りない場合に、その数日間だけ資金をつなぐための資金を「つなぎ資金」などということがあります。
事前に数日間資金が足りないことが分かっていれば銀行から数日分の資金の融資を受けることもできますが、銀行融資が下りてくるまでのつなぎ資金の融資を受けるのは難しくなります。
また、銀行融資の契約手続きに不足書類や契約書に不備があったような場合に、融資が数日送れることも珍しくあります。
たった数日であれ、期日までに必要なお金は経営者として責任をもって用意しなければならないため、このような場面でも緊急でお金が必要となります。
支払いサイト
支払いサイトとは売上金の締め日から、入金になるまでの時間を示します。
月末締めの翌月末払いなら支払いサイトは1か月です。
企業は支払いサイトに基づく売上金の入金を考慮にいれて企業活動を行っているため、支払いサイトが1か月であれば手元に1か月分の運転資金さえあれば企業活動は正常に運営できます。
しかし、取引先が急に「支払いを翌月末まで待ってほしい」と言い出した場合にはその分だけ予定していた入金がずれることになります。
いくら予定通りに払えと言ってもお金がないところからはどうやってもお金が取れないのが現実です。
このように、支払いサイトが急にずれた場合にも緊急で資金が必要になってしまいます。
経営者はノンバンクの融資も考慮に入れよう
銀行の事業性融資には時間がかかるうえに、経営者個人ではカードローンに通過しにくいという事情もあります。
しかし、企業活動には前述したように、急な入用がつきものです。
このような場合にはノンバンクの事業者向けカードローンなども選択肢として考慮に入れておく必要があります。
ノンバンクの融資には以下の特徴があります。
金利は高いが融資までのスピードが速い
最初に考慮しておかなければならないのは、ノンバンクのローンは金利が高いという点です。
最高金利は法定金利ぎりぎりの18%というローンがほとんどですので、銀行融資の1%~4%程度という金利とは大きな違いがあります。
支払利息という勘定科目は営業外費用として企業の経常利益を圧迫します。
このことだけは考慮に入れてノンバンクの融資を利用しましょう。
金利は高いですが、ノンバンクの融資は最短即日~3営業日程度で融資金が入金となります。
急な入用には強い味方となるということも事実です。
個人資産を会社から取り戻したいときにも活用できる
経営者は会社へ個人資産を貸し付けている場合が中小企業の融資においては少なくありません。
会社の会計上の「役員借入金」は会社が利益の中から少しずつ返済していかない限りは銀行からの融資で返済を行うことは困難です。
銀行は基本的に会社の運転に必要な資金と、会社が設備投資を行う際の資金しか融資を行わないためです。
ノンバンクの審査は銀行ほど厳格ではないため、社長が会社へ貸し付けた資金を返済する場合には利用できる可能性があります。
ただし、会社経営と社長の個人会計が一体化している場合には、むしろ利息負担が大きくなり、結果的に社長個人にとってもマイナスとなる場合もあるということも考慮しておきましょう。
審査の基準が銀行より甘い
銀行審査は、会社の業況を詳細に審査して、収益性、安全性、成長性などから融資の是非を決定しますが、ノンバンクの審査の基本は「返済可能かどうか」だけです。
このため、たとえ会社が赤字であっても不動産や売掛金などの資産があり、回収可能と判断されれば融資を受けることができる可能性があります。
銀行融資に応じてもらえない業況や金繰り資金などの案件であってもノンバンクでは融資を受けることができる可能性があります。
代表的なノンバンク事業者向けビジネスローン
法人経営者やオーナー社長でも利用可能なノンバンクの事業者向けローンとして、代表的なローンは以下の4つの商品です。
AGビジネスサポート ※最短で翌日融資も可能
AGビジネスサポートはアイフルが運営する事業者向けビジネスローンです。法人か個人事業主が利用することができ、融資までには最短3営業日で、ノンバンクの中では比較的高額の融資まで対応しているという点が特徴です。
融資限度額 | 1,000万円(新規は500万円まで) |
金利 | ビジネスローンは:3.10%~18.0% カードローンなら:5.00%~18.0% |
融資までの最短日数 | 最短3営業日融資 |
返済回数 | 元利均等返済:最長5年
元金一括返済:最長1年 カードローンは5年 |
必要書類 | 代表者本人確認書類
商業登記簿謄本 決算書2期分等 |
融資対象 | 法人および個人事業主 |
資金使途 | 事業資金のみ |
連帯保証人 | 代表者 |
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