ここ最近、3大メガバンクの店舗統廃合、大幅な人員削減、人員の配置転換のニュースが話題となっています。
日銀のマイナス金利政策に加え、ITと金融の融合であるフィンテックの台頭などによって、銀行のあり方が大きく変わってきています。
また、あり方そのものを変えないと銀行が生き残れない時代となり、それは実際、銀行の決算にも表れています。
3大メガバンクは今、厳しい金融情勢や社会の変化によってどのような影響を受け、どのような対処を行っているのでしょうか?
この記事では、3大メガバンクを取り巻く時代の変化や、それに伴う銀行の対処、また、今後の銀行の行方を考察していきます。
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三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループは本業の儲けである業務純益が大幅に減少しています。
それに伴い、店舗から人のいない店舗を作り出しつつあります。
業務純益△40.4%減少
三井住友フィナンシャルグループの2017年9月期決算は前年同期比△40.4%の3,053億円となっています。
最終利益は前年同期比17%の増益ですが、本業では実に年年度比40%以上の減益となっています。
グループ会社の証券会社の業況が好調であったため最終利益は増益となりましたが、本業では利益が大幅に縮小しています。
全店舗を次世代型店舗へ
三井住友銀行は今後3年間かけて全店舗を次世代型店舗へ移行すると発表しました。
次世代型店舗とは、ペーパレス化・IT化の進んだ店舗のことで、すでに東京銀座のギンザシックス内に三井住友銀行の次世代型店舗がオープンしています。
例えば、お金を引き出す際の払戻請求書の記入などは行わず、特殊な端末によってサインの筆跡や文字を書くスピードを読み取って本人確認をし、印鑑を使わずに口座開設や預金の引き出しなどができる仕組みとなっています。
すべてコンピューターが本人確認を行ってくれ、払戻請求書や振込用紙などを機械に読み取らせる手間も必要ありませんので、大幅な人員カットを行うことができます。
4,000名の部署配置転換
全店舗を次世代型店舗へ移行することができれば、当然ながら店舗の人員を削減することができるようになります。
三井住友銀行はこの次世代型店舗への移行によって約4,000名の行員を店舗から他の部署へと移行させる計画も併せて発表しています。
三菱東京UFJフィナンシャルグループ
三菱東京UFJ銀行は3大メガバンクの中では最も業務純益の減少が少なくはなっていますが、それでも本業の儲けである業務純益は大幅な減少となっています。
三菱東京UFJ銀行も他2行と同様に店舗削減、省力化、人員の配置転換を発表しています。
業務純益13.3%減
三菱東京UFJフィナンシャルグループの業務純益は、前年同期比△13.3%の4,422億円、グループの最終利益は27.8%増の6,269億円となり、3大メガバンクの中で最終利益は唯一の増益となっています。
しかし、増益の原因は、円安要因や、持ち分法適用会社の業績拡大や保有株式の売却など一時的な要因が大きく、本業の儲けである業務純益は大幅な減益となり、他の2行と同様に厳しい経営環境を反映した結果となっています。
3年間で店舗数1~2割削減へ
三菱東京UFJフィナンシャルグループは、2018年度からの3年間で、国内516支店の1~2割を統廃合する方針を発表しています。
9,500名を業務転換
店舗の統廃合によって、行員の約9,500名分の業務削減を見込んでおり、この9,500名は他の部署へ配置転換される見通しとなります。
6,000人の直接的な人員削減
三菱東京UFJ銀行が2023年度末までに、約4万人の従業員のうち約6000人を減らすことが21日、分かった。
低金利の長期化で厳しい経営環境が続く中、デジタル化を一層加速させて業務の効率化を急ぐ。
持ち株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の平野信行社長が21日、投資家向けの説明会で明らかにした。
店舗の省力化へ
また、三菱東京UFJ銀行は店舗の統廃合だけでなく、ITによる店舗の省力化を推進し、コンピューターの操作が苦手な高齢者向けに音声でやり取りするスマートスピーカーなどを導入する計画となっています。
みずほフィナンシャルグループ
みずほ銀行も業務純益が三井住友銀行と同様に大きく減少しています。
また、みずほ銀行は三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行よりも大きく踏み込んだ大幅なリストラ計画を発表しています。
業務純益40.5%減
みずほファイナンシャルグループも2017年9月期決算の業務純益が前年同期比△40.5%の1,807億円、最終利益も前年同期比△11.5%の3,166億円となっています。
日銀のマイナス金利の影響による貸し出し利ざやの悪化などを減益の理由として挙げています。
100店舗削減へ
みずほ銀行は2024年度末までに総店舗数の2割にあたる100店舗を削減する方針を打ち出しています。
10年間で19,000人の人員削減へ
みずほ銀行はさらに、2026年度末までの今後10年間で行員の数を実数で19,000人削減する計画も併せて発表しています。
店舗数を削減し、IT化による業務の効率化の徹底を図り、人員を大幅に削減する計画です。
まさに、今後の銀行の行方を最も顕著に打ち出しているといえるでしょう。
メガバンク3行に共通しているリストラ政策として
①店舗の統廃合
②店舗のIT化、未来化
③人員の配置転換または削減
ということを挙げることができます。
要するに今後メガバンクは店舗や人員が必要なくなるのです。
というか、今までは、店舗や人員を維持するために、利ザヤや手数料収入獲得のための業務を行ってきたとも言えます。
しかし、いよいよ最近になって、手数料やカードローンなどの利息収入を充てにして店舗や人員を維持することができなくなったことが、今回のみずほ銀行をはじめとしたメガバンクの大幅なリストラ政策であるといえます。
このような事態になった背景にはどのような理由があるのでしょうか?
メガバンクの抱える問題点
現在、メガバンクが軒並み大きな業務純益のマイナスとなっている背景には、マイナス金利政策などの社会的背景はもちろん、今まで銀行が作ってきた利益構造が社会的に問題視されていること、さらにはITやブロックチェーン技術の発展によって金融のあり方そのものが変わっていることなど多岐にわたります。
超低金利時代
言うまでもなく、現在の日本は超低金利時代です。
日銀が民間銀行にお金を貸し出す金利である政策金利はここ数年ずっと0%ですが、貸出金利も歴史的な低水準にあります。
住宅ローンなどは0.5%を切るような商品も珍しくなくなりました。
0%で調達した資金1,000万円を0.5%で融資したとしても、得られる利ざやは5万円です。
一方、バブル崩壊前は、預金金利5%で資金調達したとしても住宅ローン金利で8%程度でしたので、3%の利ザヤを得ることができました。
1,000万円の3%は30万円ですので、今は住宅ローンで言えば収益力は6分の1になってしまったといえるでしょう。
金融商品販売による手数料収入の規制
筆者が銀行に入行した2007年ころは、銀行員の営業担当の仕事といえば投資信託を販売してくることでした。
投資信託は銀行に販売額の2~3%の手数料をもたらします。
金融緩和のために貸出金利が大幅に減少していった金融機関は、貸出金利の低下によって減少した収益を投資信託や保険商品の販売手数料で補うために金融商品の販売を拡大し、今や、国内投資信託の販売額の半分以上は銀行の窓販といわれるまでに拡大しました。
しかし、森金融庁長官になって、銀行の投資信託の手数料の開示を要求されたり、高齢者への投資信託販売が社会問題化する中で、今後は金融商品販売による手数料収入も望めなくなりつつあります。
カードローンへの規制
2010年、貸金業法が改正され、消費者金融やカード会社などは年収の3分の1までしか総額での貸し出しができない総量規制が法制化されました。
これにより、消費者金融などからお金を借りることができない人が、銀行カードローンへと移行を始めたことから、銀行もカードローンを一気に推進します。
2015年には、消費者金融の貸金残高を銀行の消費者ローンの貸金残高が逆転し、2016年には2011年比で貸出残高が1.6倍まで増加しています。
住宅ローンが0.5%を切るような低金利時代の中、10%以上の金利が適用されるカードローンは銀行にとって大きな魅力です。
そのため、収入に見合わない無理な貸出が社会問題化し、2016年には日弁連が銀行のカードローン融資に関する意見書を提出、2017年には全銀協が会員行に「収入に見合った融資を行うよう」と要請を出し、みずほ銀行は年収の3分の1までの融資しか行わないと自主規制を強化する流れになり、最近は金融庁のカードローン融資に関する立ち入り検査まで行われました。
今後は、今までのようなカードローンの過剰融資を行うことが難しくなり、カードローンによる利息収入も頭打ちから縮小の流れとなることが目に見えています。
日銀のマイナス金利政策
さらに、2016年に日銀は当座預金の一部にマイナス金利を導入しました。
今までは銀行の預金を融資に回さなくても、日銀当座預金に預けておけば多少なりとも利ザヤを稼ぐことができていたものが、マイナス金利導入によって日銀当座預金にお金を預けていると、逆に利息を支払わなければならなくなったため、銀行は融資を推進せざるを得ない状況となりました。
これによって、さらに貸出金利は低下、それが2017年9月期決算におけるメガバンク各行の大幅な業務純益の減益へとつながっています。
消費者の行動の変化
消費者の行動の変化もメガバンクの経営状態に影響を与えています。
今やネットショッピングの多くはクレジットカード、銀行には行かずにネットバンキングから支払いというのが当たり前の時代です。
主な決済方法が現金というのも世界の中では日本だけで、今や世界各国はキャッシュレス化の流れになっています。
このように、消費者の行動の変化によって、銀行店舗が、また、銀行そのものが不必要になっているという点も銀行経営の悪化の背景として挙げることができます。
フィンテックによる銀行不介入システムの実現
最近はフィンテックという言葉も話題です。
銀行を介さずして、個人間で資金のやり取りができるフィンテックとして、Apple Payを挙げることができます。
Apple Payとは、クレジットカードや電子マネーを登録しておくことによって、クレジットカードや電子マネーが手元になくても、iPhone1台でコンビニや駅などの店舗やネットショッピングで決済を行うことができる決済サービスですが、個人間の送金にも使用することができます。
Apple Pay CashというアカウントをiOSに用意すると、クレジットカードなどでApple Pay Cashにチャージを行うことができます。
ここにチャージしたお金を相手方に曜日や時間に関係なく瞬時に送金ができる仕組みとなっています。
振り込みといえば今までは銀行の専売特許でしたが、フィンテックの登場によって、送金を銀行を介すことなく行うことができるようになってしまったのです。
まさに、フィンテックの登場は銀行の存在意義そのものを脅かす存在といえるでしょう。
後述しますが、今後はブロックチェーン技術の普及によってさらに銀行の存在意義は希薄なものになっていくことが予想されます。
今後、予想される銀行業務への懸念
これから銀行業務はますます変化を余儀なくされます。
審査、送金業務に銀行や人間は必要でなくなれば銀行の持っている優位性がなくなってしまいます。
ブロックチェーン技術によって銀行はますます不要に
先ほどApple Payなどのフィンテックによって銀行を介さずに個人間の送金が可能になったと解説しましたが、今後ブロックチェーン技術が普及すれば、ますます銀行は不要になります。
現在、ビットコインをはじめとする仮想通貨は銀行などの中央集権のサーバーを介さずに仮想通貨のやり取りを個人同士で行うことができるようにすでになっております。
これは、ブロックチェーンという技術そのものが改ざんも不可能で、中央のサーバーに頼らなくても分散したノードに記録することができるためです。
要するに信用できる「銀行」というサーバーを介さなくても技術そのものに信用を置くことができるため、個人間で安心に仮想通貨のやり取りを行うことができるのです。
Apple PayはApple Pay Cashというアカウントを必ず間に挟むことで瞬時にお金の送金を行うことができる仕組みとなっていますが、今後ブロックチェーン技術によって個人が皆ブロックチェーン上にウォレットを所有するようになれば、個人間のお金のやり取りでは完全に銀行は不要になります。
AI導入によって審査システムが確立されれば
現在、カードローンや住宅ローンなどの仮審査はコンピューターによるスコアリング審査が行われています。
スコアリングシステムとは、コンピューターが申込の内容をあらかじめプログラムされた配点通りに点数化していくだけですので、それ以上の目に見えない情報に関しては人間が処理しています。
このプログラムからはわからない情報を判断する能力を「目利き」などといいますが、今後、審査にAIが導入され、目利きもAIが行うようになったら、審査に人間の手は必要なくなってしまいます。
目利きでは決算書を見るにあたって以下のようなものを挙げることができます。
①売掛金が同じ取引先に毎年同じだけ計上されていたら不良債権処理を行う
②役員借入金が長期間動かない場合には資本金に組み入れる
これらの審査は現在人間の手で行っています。
しかし、このような作業はAIでもこなせる作業です。
さらに、クレジットカードの遅れが何回以上ある人は統計的に返済に遅れる可能性が多いなど、統計学に基づく審査はAIが最も得意とするところです。
実際にAIを使用した審査の導入も検討されており、今後は審査からも銀行員の手は離れていくでしょう。
審査する側からシステムを管理する側に
今の銀行員の仕事は審査や顧客対応です。
しかし、このような仕事は三井住友銀行の事例でもわかるように、どんどんコンピューター化されていきます。
また、審査もAIが行うようになれば、人間の手で行うことはシステムの管理が主になってしまいます。
今後は銀行員はエンジニアの方が多くなるのかもしれません。
ITベンチャーの方が審査能力が高くなる可能性も
クラウド会計サービスを展開するITベンチャーのfreeeは、freeeの持つ会計データを元に中小企業や創業支援など、新たな融資先の開拓を行う業務を横浜銀行や鳥取銀行と組んで、同行は具体的な融資サービスも始めています。
銀行といえば地域企業のことを一番よくわかっている存在であったのは昔の話です。
今は企業の膨大決算なデータを保有するIT企業の方が企業の情報を保有していますし、データの中から融資ニーズを発掘することも可能になっています。
今後、このようなデータとAIによる審査システムが1つになれば、銀行はただお金を貸すだけの存在になりますし、むしろこのようなITベンチャーが銀行業務に進出し、中小企業向け融資を行うようになれば、銀行は本業を食われてしまうことにもなりかねないのです。
実際に、今も地域金融機関よりも税理士の方が企業のことを理解しています。また、企業の方も、3年ごとにで転勤してしまう銀行員よりも長い付き合いである税理士の方を信頼しています。
会計クラウドとAI審査の融合は、税理士が審査を行うようなものですので、銀行にとってはシェアを奪われる大きな脅威となることは言うまでもありません。
メガバンク今後の道
メガバンクは今後どのような道をたどるのでしょうか?
スリム化は必須ですが、店舗中心の営業からインターネットバンキング中心の営業に変わるでしょう。
人手不足が社会問題化している中、政府も産業にAIを導入する支援を積極的に行っていますが、金融業界は最も最初に人間の手からコンピューターに業務が移る時代へと変わる業界になり、新卒採用で銀行に入行するのは非常に狭き門になるかもしれません。
人はますます必要なくなる
ここまで述べてきたように、銀行業務のほとんどすべてがコンピューターやAIによって代用可能です。
三井住友銀行の次世代型店舗でもわかるように、今後はますます銀行業務は人出が不要になり、みずほ銀行のように大規模な人員削減は他の銀行でも進むでしょう。
店舗型の営業からインターネット中心の営業に
みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行の店舗削減計画のように、今後はますます店舗の数は減少していくでしょう。
今や、銀行業務の多くがネット上で可能になっているため、店舗は不要になります。
その代わり、インターネット上でできることはますます多くなるのではないでしょうか?
現在、インターネット上では事業資金の申込から借入までを完結させることはできませんが、審査システムにAIが導入されればインターネット上で融資まで完結させることもできるようになります。
銀行は店舗への投資からシステムへの投資へと移行していくことが考えられます。
メタボ化した銀行はスリムになる
メガバンクは膨大な店舗と人員を抱えています。
今までは、この膨大な店舗や人員を維持するために投資信託や保険商品の販売やカードローンの推進をおこなってきましたが、今は社会的にそのような収益構造が認められなくなりつつあります。
さらに、消費者の動向変化やフィンテックの発展などによって、銀行業務そのものの存在意義が薄れています。
このため、これまで維持してきたメタボな銀行の体質そのものを変化せざるを得ないタイミングを迎えています。
すでにメガバンク3行の相次ぐリストラ計画でもわかるように、今後はこれまで以上に不要な人員と店舗を削減し、メタボからスリム化へと転換を図っていくことでしょう。
金融すべてを行う業態へと変化が必要
冒頭説明したメガバンクの2017年9月期決算でもわかるように、グループ全体で利益を上げているのは証券業務などです。
つまり、お金を預かり融資を行う、送金を行う、などの本業では利益を出せない構造になっています。
そのため、2000年代初頭に銀行・証券・保険が1つになる金融コングロマリットという施策が推進されたのですが、今は、グループ内で銀行・証券・保険などの業務が分かれています。
今後はさらに一体化を進めなければ銀行業務単体で生き残るのは非常に難しい時代となっているのではないでしょうか?
ブロックチェーン技術の導入を検討
銀行もブロックチェーン技術の発展によって、銀行が送金ビジネスに置いていかれるのをただ黙ってみているわけではありません。
2017年10月、富士通は、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャルグループのメガバンク3行と共同で、ブロックチェーン技術を活用した個人間送金サービスの実証実験を、2018年1月から約3カ月間実施することを発表しました。
ブロックチェーンの技術基盤の上に個人間の送金サービスを行うことができるスマホ用アプリを開発する計画です。
メガバンクもただ置いて行かれるのではなく、Apple Payの個人間送金サービスのような技術の開発に取り組んでいます。
また、2017年IBMはブロックチェーン技術を海外送金向けサービスに活用できるプラットフォームを開発し、日本のメガバンクも参加を検討しています。
今までは長い場合には2週間程度かかっていた海外送金を瞬時に安価で行うことができるため、今後は海外送金の分野にもブロックチェーン技術が取り入れられるでしょう。
また、メガバンクもそれぞれ、ブロックチェーン技術の導入に動いています。
三菱東京UFJ銀行は世界最大の仮想通貨取引所を運営するアメリカのコインベースと資本・業務提携し、コインベースのブロックチェーンのノウハウを使い低価格の海外送金サービスなどを構想し、さらに独自の仮想通貨「MUFGコイン」を開発しています。
みずほフィナンシャルグループもSBIホールディングスと共同で、ブロックチェーンを使って海外送金にかかる時間を大幅に短縮するシステムの開発を目指しています。
まとめ
マイナス金利や超低金利時代の中、メガバンクはこれまで投資信託や保険商品などの金融商品やカードローンによって収益を上げてきましたが、今後はそのようにして利益を上げることが難しくなっています。
また、フィンテックの登場によって銀行の立場そのものも危うくなっています。
銀行が今後、銀行員と顧客の店舗での顔を合わせた付き合いから、コンピューターでの業務へと舵を切り、店舗や人員削減はますます進んでいくでしょう。
また、審査システムは理論上AIが担うことができます。
さらに仮想通貨が融資事業に乗り出したら銀行はどうなるでしょう?
審査は正確に一瞬で終了し、資金の入金も瞬時に行われます。
現在は仮想通貨で資金調達を行うICOが話題となっていますが、ICOで発行されるトークンは株式のようなものです。
また、トークンは仮想通過取引所で取引も行うことができます。
つまり、すでに証券事業まで仮想通貨は参入しているといえます。
今後、仮想通貨が融資事業まで始めたらメガバンクの存在意義は本当になくなってしまいます。
ブロックチェーンやフィンテックの可能性は今のところ無限大といえます。
これらの可能性が無限大であればあるほど、銀行が今後どのような危機に直面するかのリスクも無限大といえます。
今まで銀行は、融資にしろ、送金にしろ、自分たちにしかできない業務とあぐらをかいてきた部分があるのではないでしょうか?
メガバンクはさっそくブロックチェーン技術やフィンテックの導入を検討していますが、このような技術は銀行よりもIT企業が得意とするところです。
今後、メガバンクのライバルは銀行ではなく、IT企業になるかもしれません。
私たちの暮らしが便利になればなるほど、今後メガバンクをはじめとした銀行の立ち位置は難しいものになるでしょう。
3メガ銀、新卒採用3割減…低金利やIT化で
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180420-OYT1T50073.html
三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ(FG)の3メガバンクは、2019年4月入社の新卒採用数を今春より約3割減らす。
長引く低金利で本業の貸し出しでもうけにくくなっているほか、情報技術(IT)の進展で必要な人員が減っているためだ。
3メガの新卒採用は19年4月入社が2300人で、18年4月入社の3192人から892人減る。3メガは、安定性や給与の高さから長年就職活動でトップクラスの人気を集めて大量に採用をしてきた。16年4月入社では計5000人前後を採用して、わずか3年で半分以下に減ることになる。
3メガのうち、最も減らすのはみずほFGで、19年4月入社は700人と、前年の1365人から半減させる。ほかの2メガと比べて業績が伸び悩んでいるからだ。昨秋に今後10年で全従業員の4分の1にあたる1万9000人を減らす構造改革策を発表し、新規採用の抑制などで達成することを明らかにしていた。