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経営相談窓口設置
資金繰りや経営に関しての相談窓口を1月29 日から国は開設しています。
中小企業関連団体、支援機関、政府系金融機関など、合計1,050拠点に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を設置し、資金繰りの相談などに対応しています。
新型コロナウィルス関連の補助事業
国は、新型コロナウィルス感染症によって経営に悪影響を受けた中小事業者に対して以下のような補助金の交付も決定しています。
・ものづくり・商業・サービス補助
・持続化補助
・IT導入補助
国が行う3つの補助事業について詳しく解説していきます。
ものづくり・商業・サービス補助
ものづくり・商業・サービス補助とは、新型コロナウィルス感染症の影響によって、部品の調達が困難になったため自社生産に移したり、海外拠点を日本に移す場合など、サプライチェーンの復興にかかる経費の一部を国が補填するというものです。
補助条件:サプライチェーンの毀損等の影響を受けている客観的事実を証明す るための書類の提出ができ、採択を受けた事業者
補助上限:原則1,000万円
補助率 :中小1/2 小規模2/3
新型コロナウィルスは当初中国で爆発的に感染を拡大したため「海外工場を国内工場に戻す」ということを検討した経営者の方も多いのではないでしょうか?
そのような企業がサプライチェーンを見直す場合には、この制度を利用すれば最大1,000万円の補助を受けることができます。
持続化補助
持続化補助とは外国人需要の急激な減少を補うため、インターネット販売などの別チャネルでの販路拡大を図るために必要になる資金を補助するものです。
補助条件:感染症の影響によって売上減少等を証明するための書類の提出し採択を受けることができた小規模事業者
補助額:50万円まで
補助率:2/3
小売店がネット販売路線に転換を図ったり、旅館業が自動券売機導入などによって省人化を図り事業の持続を図る場合には、この補助金で最大50万円の補助を受けることができます。
IT導入補助
IT導入補助とは、事業を持続するためにテレワークなどを推進するために、ITツール導入による業務効率化を図る場合に支援を受けることができる補助金です。
補助条件:在宅勤務制度(テレワークツール)の導入に取り組み、そのためのITツールの導入を行うこと
補助額:30~450万円
補助率:1/2
「従業員をテレワークにしたいけど、導入するためのツールがない」という場合も、この補助金を利用することによって最大450万円もの補助を受けることが可能です。
生産性革命推進事業
補助金の審査で優遇されるという措置も講じています。
ものづくり・商業・サービス補助、持続化補助、IT導入補助の採択審査において加点されます。
また、すでに導入している事業者についても生産性向上や賃上げに関する目標値の達成時期が1年間猶予されます。
コロナの影響によって、補助金の目標値達成が危ぶまれても、1年間は猶予があるので補助金には大きな影響がありません。
下請取引配慮要請
さらに国は各種業界団体(約1,100団体)に対して下請けに配慮するように要請も行なっています。
具体的に要請したことは以下の3点です。
- 通常支払われる対価より低い下請代金の設定を行わないこと
- 適正なコスト負担を伴わない短納期発注や部品の調達業務の委託を行わないこと
- できる限り従来の取引関係を継続し、あるいは優先的に発注を行うよう配慮すること
不景気になると最も最初にあおりを受けるのは中小企業です。
国は下請けへの悪影響が必要最小限に留まるように、業界団体へ要請を行なっています。
このほか、個人事業主やフリーランスなど、さらに立場が弱い人に対しては各種業界団体に対して以下のような要請を行なっています。
- 需要減少等を理由に契約変更する場合には、報酬額や支払期日等の新たな取引条件を書面等により明確化すること
- できる限り従来の取引関係を継続し、あるいは優先的に発注を行うこと
- 発熱等の風邪の症状や、休校に伴う業務環境の変化を理由とした納期延長等の求めがあった場合には、できる限り柔軟な対応を行うこと
経済危機になると最初に苦境に陥るのは下請けや自営業者フリーランスなどの立場の弱い人たちです。
国はこのような人たちにできる限りしわ寄せが行かないよう、業界団体に対して配慮を要請しています。
雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金とは経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業や教育訓練や出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を100日間国が助成する制度です。
この助成金を得るためには売上の減少などの一定の条件がありますが、特例措置によって以下のように条件が緩和されました。
- 休業等計画届の事後提出が令和2年5月31日まで可能
- 生産指標(売上高等10%減)の確認対象期間を3か月から1か月に短縮
- 雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合も対象
- 事業所設置後、1年未満の事業主も対象
- 助成率を大企業2/3、中小企業4/5に引上げ
- 雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者も助成対象
- 過去に本助成金を受給したことがある事業主が前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象になる
- 支給限度日数から過去の受給日数を差し引かない
事業所設置から間もない企業や、3ヶ月未満の短い期間に売上が減少した企業なども対象になるので、従業員を雇用し続けたまま、一時的に業務の縮小を図ることができます。
また、助成率も引き上げられたので、企業は負担を軽減した上で企業活動の継続が可能です。
今後は助成率がさらに上がる見込み
3月28日の記者会見で、安倍首相は「雇用調整助成金の助成率を、大企業は 70%、中小企業は90%まで引き上げる」と明言しています。
これによって、今後は会社都合により仕事を休業にされたとしても、中小企業に勤務している人はこれまでの賃金の9割を受け取ることができるようになります。
中小企業とすれば従業員のクビを切らなくても、この制度の利用によって雇用の維持が可能になります。
厚生年金保険料の支払猶予措置
業況の急激な悪化により、厚生年金保険料の支払いが厳しい事業者に対して、支払猶予の措置も設けられました。
これによって、支払いが厳しい事業者は一定期間支払いをしなくても差し押さえを免れることができ、延滞金も一部免除されます。
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
学校の休校に伴い、保護者が休暇を取得した場合には、その賃金の一部を国が補助する制度も創設されました。
対象になる子供①:新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等をした小学校等(小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(全ての部)、放課後 児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等)に通う子ども
対象になる子供②新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子ども
要するにコロナ関係で休校になった小学生以下の子供、新型コロナウィルスに感染したか感染の恐れのある小学校に通う子供の親が勤務する会社はこの補助金の対象になります。
支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10 (8,330円を日額上限)
個人事業主・フリーランス:就業できなかった1日当たり