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銀行融資で事業性資金の借入

法人融資申込で銀行が中小企業を審査する重要なポイントは決算書だけではない

法人にとって、銀行から融資を受けることができるかどうかという点は、企業の資金繰りを大きく左右する重要なポイントです。

銀行は、法人に対して何となく融資を行っているわけではありません。

また、財務状況がよいからとか、利益が出ているからというポジティブな要因があれば、必ずしもお金を借りることができるのかと言えばそんなことはありません。

法人融資にはポイントがありますので、そのポイントをしっかりと押さえておけば、いざお金が必要となった時に銀行から融資を断られる可能性は低くなります。

今回は、法人融資の際の銀行のチェックポイントについて解説していきます。

目次

審査は2つある

銀行が法人を審査すると言った時には2つの審査があります。

どちらも銀行から法人が融資を受ける際には重要になる審査ですので、2つの審査の違い理解しておきましょう。

企業審査

企業審査とは、初めて銀行と融資取引を始める前、決算後などに銀行が企業の業況を評価する審査です。

企業審査では、融資取引をしても問題ない企業かどうか、また、企業の格付けを決定します。

案件審査

案件審査とは、企業が銀行に対してお金を借りたいと考え、融資の申込をした際に、融資を実行するかどうかということを判断する審査です。

このように、法人融資の審査は企業審査と案件審査の二階建てになっており、企業審査に通過できない企業がいくら融資に申し込んだとしても、融資を受けることはできませんし、企業審査に通過して、融資取引を認められた企業も、案件審査に通過できないこともあります。

では、具体的にそれぞれの審査ではどのような点をチェックしているのでしょう?

 

企業審査のポイント

企業審査は、決算書などを分析して、企業が融資取引に値する企業かどうかを審査する企業審査と、融資案件の審査に分かれます。

企業審査ではコンピューターによるスコアリング審査である定量評価と、銀行員の目で企業や経営者などを評価する定性評価という2つの評価に分かれます。

定量評価

定量評価は決算書の内容を銀行の審査システムが自動的に審査するスコアリングを行います。

スコアリングでは、企業の決算書から「安全性」「収益性」「債務償還能力」「成長性」などの観点から財務分析を行い、とりあえずの格付けを行います。

定性評価

定性評価では、定量評価で上がってきた企業の評価を、銀行員が実態に近い形に評価し直す審査です。

決算書に粉飾がないかというチェックもここで行いますし、銀行員の目利きで、経営者の質や企業の将来性や従業員の熟練度なども評価して、定量評価での判断を修正します。

定量評価と定性評価が終わると企業に格付けが付きます。

融資を受けることができない企業

企業審査においては、融資取引を行ってよい企業かどうかということを評価していますが、下記に該当している企業は銀行から融資取引を断られる可能性が高い企業です。

逆に言えば下記に該当していなければ、一応は銀行から融資取引を受けることができる可能性はあると言えるでしょう。

①3期連続営業赤字

企業経営の中で、一時的に経営不振に陥り、赤字に転落することは珍しいことではありません。

赤字は回復できればよいのです。

しかし、3期連続で営業赤字になってしまっている場合には審査通過は厳しくなります。

3期連続で営業赤字の場合には、一時的な赤字であるとは判断されず、慢性的に経営不振に陥っているため、抜本的な経営改革が必要な会社です。

初めて企業と取引する銀行は、このような企業と融資取引は行いません。

2期連続営業赤字でも厳しいので、できれば財務的に余裕のあるうちに、融資申込をしておく方がよいでしょう。

②債務超過

債務超過とは、会社の総資産よりも多くの負債を背負い、資本金がマイナスになっている状態を指します。

債務超過の場合にも審査に通過することは難しくなります。

債務超過の企業は自己資本がないため、銀行からお金を借り、そのお金で企業経営をなんとか回している状態です。

つまり、銀行から融資が出なくなった時点で、その企業は倒産してしまう確率が非常に高いということです。

このような企業に対して、銀行がわざわざ新たに融資取引を行うようなことはしないため、債務超過の企業も、銀行から法人融資を受けることは難しいでしょう。

なお、債務超過の企業であっても、黒字を出しており、債務超過を解消できる見込みがあれば融資を受けることができる場合もあります。

しかし、債務超過と赤字が重なっている場合の融資はほぼ不可能と考えた方がよいでしょう。

 

案件審査のポイント

融資案件の審査では主に以下のポイントを審査します。

• 使い道に合理性はあるか
• 融資実行後の資金繰りはどうか
• 計画に合理性があるか

などのポイントです。

企業審査で一通りの銀行の企業そのものに対する審査は終わっていますので、融資案件で審査をすることは、「融資実行後に企業がどうなるのか」という視点になります。

また、前回の企業審査から時間が空いてしまっている場合には、直近の決算書などを使用して企業審査をもう1度行います。

このように、融資案件の審査でも、やはり企業審査の上に融資案件の審査が行われるという2階建の構造になっているのです。

また、融資案件によって、銀行が融資に積極的になるのか、消極的になるのかは異なりますので、案件による銀行のスタンスの違いについても理解しておくようにしましょう。

資金使途

企業審査をクリアしているということは、融資をしても問題ないという一定の信用は確保している状態です。

このため、融資案件の審査で最も重要になるのは実はこの点です。

使い道に合理性があり、金額が適正なものかどうかが、非常に重要になります。

運転資金であれば、その企業の必要運転資金を計算し、その金額の範囲内かどうか、売上の入金と仕入れのタイミングの時間的なズレである、資金ギャップは生じているかどうかということが審査されるのです。

基本的には必要もないお金を借りることはできません。

資金繰り

案件審査の際には資金繰り表の提出がほぼ必ず求められます。

融資実行後に資金繰りがどうなるかということは非常に重視されます。

運転資金の場合には、融資実行から一定期間経過すると、その資金は会社の運転のための支払いによって無くなります。

その後、返済金の支払いは融資前よりも増えることになるため、必ず完済までに返済金以上の現金がプラスになっている状態でなければなりません。

設備資金を借りる時も同様です。

設備投資によって収益が向上し、少なくとも設備から生み出す利益が、設備資金借入の返済金を上回る資金繰り計画になっている必要があります。

投資計画(設備資金の場合)

設備資金を借りる場合には、その投資計画そのものに合理性があるかとどうかということも審査されます。

基本的に黒字で財務状態にも問題がない企業であれば、新たな投資について銀行は応援します。

そうは言っても全く畑違いの分野に、その法人の年間売上高を超えるような、リスクの高い投資を行う場合には融資を断られてしまう可能性があります。

このように、企業審査において財務的に問題がないと認められている状態の案件審査では、資金使途や投資計画に問題がなく、資金繰りにも問題がなさそうと判断されれば融資を受けることができる可能性は決して低くはありません。

銀行が融資をしたい融資案件

融資案件の中には、銀行が積極的に融資をしたい案件があります。

自社が銀行借入を希望している場合には、以下のいずれかに該当している場合には、融資を受けることができる可能性は高いと言えるでしょう。

もちろん、資金使途に合理性が認められ、融資実行後の資金繰りにも問題がないと思われる場合に限られます。

①経常運転資金

経常運転資金とは、売上金の入金があるまでの間に、会社の運転に必要な資金です。

つまり、赤字ではなく通常の運転資金ですので、しっかりと売上がある法人であれば、銀行は問題なく融資に応じてくれます。

②増加運転資金

増加運転資金とは、受注増に伴って増加する運転資金です。

例えば、取引先から急に大口の受注が入った場合などは、受注に対応するために、仕入れコストや人件費が大きくなってしまいます。

手元にお金がない場合には、増加する受注に対応することはできませんので、運転資金の借入が必要になります。

売上増加が見込める運転資金ですので、銀行とすれば、融資をしたい案件ということになります。

入金に問題ない取引先からの受注であれば、銀行は回収が確実で、企業も利益を見込めるので、融資を受けることができるでしょう。

③優良先の設備投資

本業でしっかりと利益が出ており、自己資本もある会社が、業務拡大のために設備投資を希望する場合にも、融資を受けやすいでしょう。

もちろん、その投資計画に合理性が認められた場合に限られます。

銀行が融資をしたくない案件

銀行にとっても融資をしたくない案件とも存在します。

銀行が融資をしたくない案件というのは、回収することが危ぶまれる以下のような資金です。

①赤字の運転資金

赤字の時こそ、銀行からお金を借りたいと思うものでしょうが、赤字の際の運転資金は銀行から借りにくい資金です。

リーマンショック時のような社会全体を巻き込む不景気の際には、いずれ不景気は回復することが見込まれるため、融資を受けることができる場合があります。

しかし、企業単体で赤字を出しているような場合には、赤字を回復する見込みが立たない限りは融資をしても、ただ債務超過を拡大させ、企業を延命させているだけになります。

赤字の場合には黒字化する見込みがない場合には融資を受けることが難しくなりますので、長期の経営計画を立て、いつ赤字が回復するのかを説明できるようにしてから、申込をするようにしましょう。

②金繰り資金

金繰り資金とは、簡単に言えば、借金返済のための借入です。

借り換えローンでもない限りは、借金返済のための借入をすることは基本的にできないと考えておきましょう。

借金の返済を借金からしてしまったら、後から借りた借金はどうやって返すのかという話になります。

銀行とすれば、他の金融機関の不良債権化のリスクを自行で背負ってしまうことになるので、審査に通過することはできないのです。

 

法人融資の審査 まとめ

法人融資の審査のポイントは2階建に分かれています。

いくら資金使途に合理性があろうとも、そもそも企業審査で、安全性などが確認できない企業は融資を受けることができませんし、逆にいくら安全な企業でも「この企業にこの融資は必要ない」と銀行が判断した場合には融資を受けることはできません。

このように、銀行の法人融資のポイントは企業そのものの内容と、融資案件ともに銀行が「問題ない」と判断できた場合のみ審査に通過することができます。

銀行から法人融資を受ける前には、まずは自社の安全性や収益性を高めることです。

銀行から正常先の格付けをもらえるように、収益力と財務力をつける経営に取り組みをしましょう。

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【参考に】↓
急ぎの資金繰りでノンバンクから借入した事業者を信用金庫や銀行はどう見る?
金融機関との融資取引継続のためにすべきことは?

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株式会社セゾンファンデックス(英文名称SAISON FUNDEX CO.,LTD.)は、個人・法人向け融資事業及び、不動産金融事業、リースバック事業、信用保証事業等を行う日本の消費者金融業・抵当証券業者。主力商品は、クレディセゾングループのネームバリューを活かした「不動産担保ローン」「プロジェクト融資」「リースバック」「かんたん安心ローン」等。 沿革 1984年2月 - (株)西武クレジット(現(株)クレディセゾン)等の出資により、(株)西武抵当証券として設立 1991年 2月 - (株)エースファイナンスと合併 4月 - 社名を(株)セゾンファンデックスに変更

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