地方銀行を中心として不動産投資ローンやアパートローンの融資が拡大しています。
2017年には不動産投資向けの融資がバブル期を超えたというニュースもあり、企業が設備投資を控えて、銀行にとっての融資先がない中で不動産投資用のローンは、高額の融資を実行することができる数少ない融資として、銀行によってはとても力を入れて推進しています。
アパートローンは他の銀行からの借り換えを行うことも可能とご存知でしょうか?
日銀のマイナス金利導入によって銀行のあらゆるローンは歴史的な低金利水準となっています。(2018年現在)
これまでに借りた不動産投資向けローンの金利が高いと感じた場合には借り換えを検討するのも1つの方法かもしれません。
ただし借り換えには審査もありますし、費用もかかります。
この記事では不動産投資ローンやアパートローン借り換えの注意点や借り換えの手順などについて徹底解説をしていきます。
目次
不動産投資ローンやアパートローンの借り換え相談と交渉
不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンのように「借り換えローン」などというように銀行ホームページ上に商品内容が記載されているわけではありません。
しかし、多くの銀行で不動産投資ローンやアパートローンの借り換えの相談に応じてくれますし、借り換えによって金利が下がれば、場合によっては1,000万円を超えるような利息負担が減るメリットが発生することがあります。
不動産投資ローンやアパートローンを借りているという人は現在の金利情勢よりも高いと感じた場合には積極的に借り換えの相談をしてみるようにしましょう。
パッケージ商品はあまり存在しないため個別の交渉になる
銀行のホームページの商品ラインナップに不動産投資ローンやアパートローンなどが記載されていなくてもほとんどの銀行で不動産投資ローンやアパートローンの借り換えを行っています。
不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンなどと異なり、事業資金に該当し、また保証会社がつかないプロパーで融資されることがほとんどですので、あらかじめ「金利が〇〇%」「融資限度額〇〇万円」などとは記載されていないのです。
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そのため、借り換えを希望する場合には、様々な銀行へ自分で足を運び「借り換えは可能か」「金利はどのくらい下がるのか」という借り換えの相談をすることが基本的な借り換えの手法になります。
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えシミュレーション
不動産投資ローンやアパートローンを現在借りているという人はまずはどのくらいのメリットが出るのかお手元に返済予定表を用意してシミュレーションをしてみましょう。
シミュレーションは簡単な手順を覚えれば自分でもすぐに行うことができます。
金利差だけの借り換え判断はダメ
借り換えには手数料や登記費用といった諸費用が発生します。
このため、単純に金利が低くなるからその金利差が丸々メリットになるというわけではありません。
シミュレーションの際にはこれらの諸費用も加味した上で行うようにしましょう。
借り換えには諸費用が必要
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えに必要な諸費用は、以下のようなものが挙げられます。
・登記費用:登録免許税(借入額の0.4%)、司法書士報酬(5万円〜10万円)
・不動産担保調査手数料:10万円+消費税くらい(銀行によって異なる)
・その他の費用:収入印紙代など
シミュレーションの際には現在の不動産投資ローンやアパートローン残高にこれらの諸費用を足した上で、借り換え後の不動産投資ローンやアパートローンの返済額と比較する必要があります。
実際にシミュレーションを行ってみよう
1億円を35年返済で金利2.5%で借りたアパートローンを借り換える場合を考えてみましょう。
詳細は以下のようになっています。
当初借入額 当初借入期間 借入金利 毎月返済額 残り返済回数 現在残高
1億円 35年 2.50% 357,495円 300回 79,688,298円
①現在残高を把握
このアパートローンの現在の残高は79,688,298円となります。
この現在の残高がシミュレーションを行う上で全ての基準となるため返済予定表から現在の残高をしっかりと確認するようにしましょう。
②諸費用を算定
次の諸費用を算定しましょう。
1.登記費用
登記費用は登録免許税が大きくなります。
登録免許税は借入額の0.4%です。
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えは諸費用を現在の残高にプラスした金額を借り換えるため、借り換え前の残高よりも、借り換え後の借入額の方が大きくなります。
このため、登録免許税の計算は現在の残高の端数を切り上げて計算すればよいでしょう。
この場合には借入額8,000万円として計算しておけばよいでしょう。
登録免許税=8,000万円×0.4%=32万円
司法書士報酬が10万円と仮定すると、登記費用は約42万円です。
2.不動産担保調査手数料=108,000円
諸費用合計で528,000円となります。
借り換えは、不動産投資ローンやアパートローンの残高と諸費用を足した金額を借入残高とします。
アパートローン残高79,688,298円+諸費用見積額528,000円=80,216,298円
アパートローンは1万円以上からが融資額ですので、この場合には8,020万円で借り換えを行うのが一般的です。
面倒ですので8,000万円で借り換えをする大家さんもいるかもしれませんが、今回は8,020万円でシミュレーションを行います。
計算サイト(https://keisan.casio.jp/exec/system/1256183644)から0.9%で借り換えた場合のシミュレーションを行っていきます。
「借入金額」
「金利」
「返済期間」
をそれぞれ入力していきます。
あくまでもシミュレーションですので金利は借入当初から25年間変わらないという想定で構いません。
「計算」ボタンをクリックするとシミュレーション結果が表示されます。
残り期間を同じにして、金利を0.9%へ引き下げた場合には毎月返済額は298.635円へと下がりました。
実に1ヶ月に6万円近く返済額が減少したことになるため、いかに利息負担が馬鹿にならないかよくお分かりいただけるかと思います。
借り換えをしない場合 借り換えをする場合
金利 2.5% 0.9%
毎月返済額 357,495円 298,935円
完済までの利息負担額 27,560,202円 9,390,336円
また、借り換えは返済期間を短くすることも可能です。
返済金額を借り換え前と同じにして、金利を0.9%へ引き下げる場合には返済回数は246回へと短縮することが可能です。
借り換えをしない場合 借り換えをする場合
金利 2.5% 0.428%
返済回数 300回 246回
完済までの利息負担額 27,560,202円 7,647,072円
毎月返済額を変えずに返済期間を短くして借り換えを行ったケースです。
返済回数が短くなった分だけ利息負担はさらに少なくなり、なんと完済までの利息負担の違いは約2,000万円にものぼります。
借り換え先銀行の探し方
不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンのように銀行が大々的に広告を出している訳ではありませんし、比較サイトがあるわけでもありません。
そのため、どの銀行での借り換えで金利がどの程度になるのかということの予測が難しいのが実情です。
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えを希望する場合には、どのように借り換える銀行を探したらよいででしょうか?
モゲチェックなどを活用する
全国の銀行から最適な住宅ローンをマッチングしてくれるサービスである株式会社MFSの「モゲチェック」は、不動産投資ローンやアパートローン借り換えの提案書の作成から金融機関への申し込み手続きの代行まで行ってくれます。
モゲチェックの手続きは無料診断と有料サービスに分かれています。
①無料診断
ローン情報をモゲチェックに提出し、見直し方法や借り換えによるメリット額を「提案書」によって提示してくれます。
この時点では具体的な金融機関名などは教えてくれません。
②有料プラン
不動産投資ローンやアパートローンの借り換え手続きを実行します。
書類収集や申し込み手続きなどはほぼ全てモゲチェックが代行してくれます。
有料ブランの料金は金利削減額の10%(下限30万円)と成功報酬制になっています。
「不動産投資のローンを借り換えたいけど、どこに相談に行ったらよいか分からない」という人はモゲチェックなどのサービスを利用するのも1つの方法です。
手数料は金利削減額の10%と決して安くはありませんが、先ほどのシミュレーションでも分かるように金額の大きな不動産投資ローンは、利息負担だけで1,000万円以上の違いが出ることも全く珍しくありませんので、手数料を払っても十分なメリットが望めるでしょう。
近くの銀行へ持ち込んでも可能
近くの銀行へ返済予定表を持参して相談に行くことも可能です。
ほとんどの銀行の不動産投資ローンは、プロパーローンになっているため、あらかじめ金利が決まっているわけではありません。
このため、不動産の価値や家賃の収入状況や入居率などによって借り換えで提案される金利は異なります。
まずは返済予定表やアパートの登記簿謄本を持って相談に行き、借り換えの条件を把握しましょう。
ここで提案された金利をスタートにして、モゲチェックの無料診断などを活用してもよいかもしれません。
10%の手数料をモゲチェックに払うことが得になるのか損になるのかが具体的にイメージできるのではないでしょうか?
不動産投資ローンやアパートローンの借り換え審査
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えを行うには、審査に通過しなければなりません。
審査には、様々な書類が必要で、新規で不動産投資ローンやアパートローンを借りた時と同じような面倒な手続きになるという点だけはあらかじめ覚悟してから借り換えの手続きを行うようにしましょう。
確定申告書3期分が必要
不動産投資ローンやアパートローンを借りている人というのは銀行にとっては事業資金融資先になります。
事業資金融資先に関しては融資案件の審査の前に事業内容(不動産経営の内容)を審査することがスタートとなります。
返済予定表やアパートの登記簿謄本と同時に確定申告書を3期分は持参して相談に行く必要があります。
事業内容が赤字で「事業融資をするに値しない」と判断されてしまった場合には、残念ながら借り換えの審査に進む前に融資を断られてしまうことになります。
担保価格
不動産投資ローンやアパートローンは担保価格の範囲内までしか融資を行わないことが一般的です。
入居率が高く家賃収入がしっかりとあるよほど収益性の高い物件でない限りは担保割れしている場合には融資を受けることは難しいでしょう。
このため、地方都市のアパートローンなどは借り換えを行うことが難しい物件です。
家賃の収入状況
家賃の収入がどの程度か、入居率がどの程度なのかということも審査対象になります。
また、当該物件の家賃の下落率や周辺地域の下落率を調べて、将来的なキャッシュフローを算出し、将来的にも不動産投資ローンやアパートローンを返済していくことが可能かということも判断されます。
この将来的な資金繰りで返済金のほうが上回る状況であれば返済は不可能と判断されて審査に通過することはできません。
その他の収入も意外と重要
借主がサラリーマンの場合には、給与所得も重要になりますし、他にも投資用の不動産を保有している場合にはそこから得られる家賃収入がいくらになるのかということも重要になります。
借り換え対象の物件以外からの収入が多ければ多いほど、仮に将来的に借り換え対象の不動産から思ったような収益が上がることができなかったとしても、不動産投資ローンやアパートローンの返済に問題がないとして審査に通過できる可能性があります。
問題のスルガ銀行の場合には、給与所得者の所得の部分を組織ぐるみで改竄し、返済能力のない人に多額の融資を実行していたわけですので、給与所得は不動産投資ローンやアパートローンにおいても重要視されています。
既存不動産投資ローンやアパートローンの返済状況に遅れがない
借り換え対象の不動産投資ローンやアパートローンの返済に遅れがある場合には残念ながら審査に通過することはできません。
返済に遅れがある債権というのは、不動産投資ローンやアパートローンを借りている銀行にとっては要注意の債権ですので、このようなローンの借り換えに応じてしまったら、他の銀行のリスクを自社で引き受けるようなものです。
審査では返済用通帳のコピーを提出する必要がありますが、ここで返済に遅れたことが発覚してしまうと審査に通過することは非常に難しくなるでしょう。
団信加入の場合には健康状態にも注意
不動産投資ローンやアパートローンの中には団信に加入しているものも存在します。
借り換え後も団信に加入することが融資の条件として求められる場合には、健康でないと団信の審査に通過することができませんので、借り換え審査に通過することは不可能になります。
不動産投資ローンやアパートローンを借りている人の中には、80歳を超えるような高齢者の地主も存在します。
そのような人はそもそも団信に入ることができないため、借り換えをすること自体が不可能になる場合もあります。
プロパー資金で融資する場合には団信の加入を求められることが少なくありません。
審査のハードルは上がっている
最近は、不動産投資ローンやアパートローンを巡るトラブルが続出しています。
スルガ銀行のシェアハウスの事件や、レオパレスの家賃保証を強制的に解約され全国で裁判が続出しているトラブルです。
筆者は最近、知り合いの不動産屋さんに「地元のアパートを一棟買いしたい人がいるから銀行を紹介してくれないか」と突然頼まれたことがあります。
なぜ、急にそんなことを依頼してくるのかと理由を聞くと、「このような投資用不動産の融資はこれまではスルガ銀行に頼んでいたら、簡単に融資が出たが、シェアハウスの事件から融資が出なくなって困っている」とのことでした。
知り合いの銀行を紹介しましたが、残念ながら審査には通過することができませんでした。
銀行に確認したところ、やはり最近のトラブル続出で投資用不動産の融資には慎重になっているとのことでした。
不動産投資用のローンは、少なくとも審査時点では、収益が確定しており、担保価格に問題がなければ、返済能力も保全能力(融資額を担保評価額を上回っており、仮に現金で回収ができない状態でも銀行は担保の処分で損失が出ないという状態)が揃っているローンです。
収益と保全という融資をするためのロジックが全て揃っているため、高齢者の地主でもアパート建築のための資金を借りることができるのが不動産投資用のローンです。
しかし、スルガ銀行やレオパレスのようなトラブルが社会問題になると、リスクを取ることに消極的な方針の銀行の場合には融資に対して及び腰になってしまうようです。
不動産投資ローンやアパートローンの融資は銀行の方針によって審査結果が大きく異なります。
このため、数多くの銀行と交渉することができるモゲチェックなどを利用したほうが、借り換えることができる銀行を探すことができるのかもしれません。
借り換え時の注意点
借り換え時には思わぬ費用が発生してしまうことがある場合もあります。
注意点も理解しておきましょう。
ノンバンクの不動産投資ローンやアパートローンは違約金がかかることも
不動産投資ローンやアパートローンはノンバンクでも融資を行っています。
しかし、ノンバンクの不動産投資用ローンを借り換える場合には違約金がかかる可能性があります。
ノンバンクの不動産投資ローンやアパートローンの中には繰上げ返済をする場合には借入残高の3%程度の違約金が発生する契約になっているような商品が存在します。
例えば借り換え時の残高が8,000万円であれば違約金だけで240万円も必要になってしまうことがあります。
この違約金も借り換えの金額に含むことができる場合がありますが、借り換え融資を受けてから「やはり違約金が必要だった」ということに気づいた場合には時間をかけて行った審査が最初から全てやり直しになってしまうこともあります。
借り換え前にはしっかりと既存ローンの契約内容を確認しておくようにしましょう。
不動産投資ローンやアパートローンの借り換え手続き
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えの手続きはどのように進めて行くものなのでしょうか?
モゲチェックなどに手続きを頼むのであれば、借り換えの手続きはほとんど代行してくれますが、そうでない場合には自分で手続きを行っていくことになります。
借り換え後の銀行や、借り換え前の銀行に相談する順番など、借り換えの手続きの流れをあらかじめしっかりと理解しておくようにしましょう。
・銀行を選定したら相談に
借り換えを行う銀行を選定したら、返済予定表と不動産登記簿謄本と確定申告書を持参してまずは相談に行きましょう。
突然訪問しても相談には乗ってくれますが、あらかじめ「今、ほかの銀行で不動産投資のローンを借りているのだが、借り換えを相談したい」という旨を伝えておいたほうが無難です。
先ほどご紹介したように、銀行によっては不動産投資用のローンの取り扱いには敏感な銀行も多数存在するため、電話で伝えた時に銀行が「当行は不動産投資用のローンは扱っていない」と言う可能性があります。
電話で感触を探っておけば、突然銀行に行って無駄足になるということがないためです。
シミュレーションに納得できたら申し込み
相談に行った際にすぐに借り換えの条件が提示されるということはまずありません。
銀行は、返済予定表や確定申告書や入居状況などのヒアリングからある程度審査を行い、審査で問題がないとわかった段階で、具体的な金利の調整に入ります。
そのため、最初の相談時には、様々なヒアリングで終わることになるでしょう。
この際、審査で有利にするために嘘をつくのはやめましょう。
カードローンやフリーローンでは嘘をついてもバレないこともありますが、金額の大きな不動産投資ローンでは、審査で重要になる情報は全て裏をとるため、嘘をついても嘘はバレてしまいます。
聞かれたことには全て正直に答えておいたほうが無難です。
ヒアリングが終わると具体的な融資の審査に入り、金利等の条件が決定します。
金利が決まると具体的なシミュレーションを銀行は提示してくれます。
毎月いくら返済額が軽減になるのか、利息の総額はどの程度異なるのか、などという条件が具体的に分かるため、シミュレーションに納得できたら申し込みを行うことになります。
審査時間は1ヶ月くらいかかることもある
不動産投資ローンの審査には時間がかかります。
担保評価は銀行の担保評価専門の部署の人間が実際に現地に赴き評価を行うことが多いですし、家賃の相場の下落率や周辺の入居状況等、詳細な審査を行う必要があります。
また、先ほどご説明したように、不動産投資用のローンというのはプロパーローンになることが一般的です。
住宅ローンのように保証会社がついており、審査の基準は保証会社との間で取り決めたチェックリストに合致しているかどうかだけというような審査とは異なり、審査担当者自らが上司や本部に納得してもらうための資料を全て用意する必要があります。
このため、プロパーローンというのは稟議を作成するだけでも1週間以上の時間がかかることも珍しくありません。
また、稟議が修正される都度、銀行員から追加の資料を要求されることもあるため、この点は面倒ですが、面倒がらずに協力してあげましょう。
また、稟議をあげても上司や本部から何回も修正が入ることも一般的ですので、申し込みから審査通過まで1ヶ月程度の時間がかかってしまうことも珍しくないということは理解しておきましょう。
審査に通過したら既存借入銀行へ連絡し返済日を決定
ここからは、住宅ローンの借り換え手続きとほとんど変わりはありません。
審査に通過したら、これまで不動産投資用のローンを借りていた銀行へ初めて連絡をします。
「一括返済したい」と伝えるだけで基本的にはOKです。
不動産投資用のローンというのは金額が大きなローンですので、銀行にとっても数千万円から1億円以上のローンを一括返済されてしまったらとても困ることになります。
地方銀行や信用金庫でこのような電話が入ると大抵支店内は大騒ぎになります。
借り換えで一括返済する場合には、なんとか借り換えを防ごうと金利の引き下げなどを交渉してくることが一般的です。
このような騒ぎが面倒な場合には「親からの預金で一括返済する」などと伝えてもよいですし、借り換えは取りやめて金利の引き下げに応じるなどということも1つの方法です。
いずれにせよ借り換えると決めた場合には、これまで不動産投資用のローンを借りていた銀行と返済日を決定しなければなりません。
返済日が決まったら、その旨を借り換える銀行へ伝え、融資実行日を決めることになります。
ここまでの手続きが面倒と感じた場合には、やはりモゲチェックなどの仲介サービスを利用するというのもよいでしょう。
なお、通常は返済日の前日か前々日くらいに融資が実行されることになります。
融資実行後と同時に抵当権設定
借り換えローンの融資が実行されたら当日中に抵当権設定の書類を司法書士に渡し、当日中に司法書士が法務局に書類も持ち込み、抵当権が融資実行日付で設定されることになります。
知り合いに司法書士がいたらその司法書士を使ってもよいですし、知り合いがいないという場合には、銀行がお抱えの司法書士を紹介してくれます。
通常は、銀行お抱えの司法書士は手数料が安い傾向にあります。
既存借入銀行へ振り込み
これまで不動産投資用のローンを借りていた銀行と決めた返済日の前日か当日の朝に不動産投資ローンの借り換え資金がこれまで不動産投資ローンを借りていた銀行口座へ振り込まれます。
既存借入銀行の不動産投資ローンやアパートローンを返済
返済日になると既存の不動産投資ローンが返済されます。
ただし、預金口座から勝手に返済金の引き出しを行うということはできませんので、これまで不動産投資ローンを借りていた銀行に返済日に行き返済手続きを行うか、あらかじめこれまで借りていた銀行へ払戻請求書を渡しておけば返済日銀行が返済手続きを行ってくれます。
・既存銀行の抵当権が解除され融資手続き完了
不動産投資用のローンを返済すると、数日後に銀行から解除証書という書類が送られてきます。
この書類を司法書士に渡すと、既存の不動産投資用ローンの抵当権を解除することができ、借り換えた不動産投資用ローンの抵当権が第1位になります。
ここまでの手続きを全て終えると、既存の不動産投資ローンを借りていた銀行との関係は全て終了し、借り換え手続きも完了という流れになります。
不動産投資ローンやアパートローンは金利交渉したほうが得
ここまで述べてきたように、不動産投資ローンやアパートローンは借り換え手続きが面倒ですし、住宅ローンよりも借り換える銀行を探すのも困難です。
筆者は個人的に不動産投資ローンやアパートローンの金利が高いと感じたら、金利の引き下げ交渉を行ってしまったほうが簡単だと思います。
借り換えを検討していると言えば金利引き下げに応じてくれる
不動産投資用のローンは金額が大きいため銀行にとっては借り換えられてしまったら非常に痛いローンです。
銀行の支店には「融資残高〇〇億円をキープせよ」などというノルマが常に課されており、毎月約定返済で減ってしまう分は新規融資を行い増やしていく必要があるためです。
このようなノルマを抱える中で1億円前後の不動産投資用のローンが返済されてしまったら支店にとってはノルマの達成は一気に苦しくなってしまいます。
そのため、「金利が高いから借り換えを検討している」と言えば、返済に問題がない限りは必ず何かの手続きは行ってくれます。
このような時に使用できるのがモゲチェックの無料診断で作成できる提案書です。
具体的にいくらメリットが出るかまでしっかりとプロが診断してくれているため、銀行と交渉するためには大きな武器になります。
この提案書を持参し、「これに借り換えようと思っている」と言えば、提案書と同じ程度までは金利の引き下げに応じてくれる可能性は少なくないでしょう。
なお、銀行の方針によっては「金利の引き下げには一切応じない」としている銀行も存在しますので、このような銀行から借りている場合には借り換えを検討したほうがよいかもしれません。
面倒な手続きが必要ない
不動産投資ローンやアパートローンの借り換えは書類の用意等がとても面倒です。
住宅ローンよりも私は面倒だと思いますので、金利の引き下げによってこの手続きを省略することができるのであれば、金利を下げたほうが絶対にメリットがあると思います。
まずはモゲチェックなどでプロの借り換えの見積もりを取り、その見積もりをもとに引き下げ交渉を行い、引き下げに応じてもらえない場合や、引き下げ内容に納得できない場合に、他の銀行へ借り換え交渉を行うという順番が最も効率的な方法だと思います。
不動産投資ローンやアパートローン借り換えのイロハ
最後に不動産投資ローンやアパートローンを借り換える場合のその他の情報も説明しておきます。
期間の延長は基本的に不可能
返済額の軽減を図るため、最終期日を延長するという借り換えは基本的に行うことはできません。
契約当初よりも返済条件を甘くすることを「条件緩和」と言います。
銀行にとって条件緩和を行った債権というのは、要注意の債権ですので、間で借り換えを挟んでも実質的に条件を緩和するということはできません。
期間を縮めて返済条件をむしろ厳しくするという借り換えは可能です。
金利タイプの変更も可能
これまで固定金利で借りていたけど変動に変えたいとか、変動金利で借りていたけど長期的に金利を固定させたいから固定金利にしたいというように、金利タイプを借り換え時に変更することも可能です。
ただし、不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンのように、変動〇〇%固定〇〇%などと金利が決まっているわけではありません。
銀行によっては固定金利しか認めないなどと金利タイプを指定されてしまうこともあります。
また、住宅ローンのように、審査に通過した後に金利タイプを選択できるわけでもありません。
希望の金利タイプがある場合には、あらかじめ申込時に銀行へ希望する金利タイプを伝えておくようにしましょう。
まとめ
不動産投資ローンやアパートローンは借り換えを行うことが可能です。
しかし、不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンのようにあらかじめ金利などが決まったパッケージ商品になっておらずプロパー融資によって個別に融資条件を設定する場合が少なくありません。
このため、どうやって借り換える銀行を探すのかということから悩ましいのが実情です。
このような場合にはモゲチェックのような借り換えをマッチングしてくれるサービスを利用してもよいですし、知っている銀行へ直接聞いてみるものよいでしょう。
なお、金額の大きな不動産投資ローンやアパートローンは銀行が金利の引き下げに応じてくれやすいローンです。
このため、他の銀行の借り換えの提案書などを持参して金利の引き下げを交渉してみるというのも1つの方法です。
いずれにせよ、金額が大きな不動産投資ローンやアパートローンは金利だけで1,000万円以上の違いが生じることも珍しくありません。
金利が高いと感じた場合には積極的に借り換えを検討したほうがよいでしょう。